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雛芥子茜の覚え書き

アンティーク、バラ、陶器の人形、綺麗な絵本、ヨーロッパ映画、バレエなど、好きなものを綴っています。

映画「静かなる情熱 エミリ・ディキンスン」

映画「静かなる情熱 エミリ・ディキンスン」をPrime Videoで観ました。

映画『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』予告編



映画.com作品解説

アメリカの女性詩人エミリ・ディキンスンの生涯を、「セックス・アンド・ザ・シティ」のシンシア・ニクソン主演で映画化。北米の小さな町の屋敷から出ることなく、生前にわずか10編の詩を発表したのみで、無名のまま生涯を終えたディキンスンは、死後に約1800編の詩が発見され、繊細な感性と深い思索の中で編み出された詩の数々で、後世の芸術家たちに大きな影響を与えていると言われる。そんなディキンスンの少女時代から晩年、そして死までを、ディキンスンの愛読者でもあるというニクソンが熱演。実際にディキンスン一家が暮らした屋敷でも撮影が行われた。監督は、レイチェル・ワイズとトム・ヒドルストンが共演した「愛情は深い海の如く」などを手がけたイギリスのテレンス・デイビス。



詩人のエミリー・ディキンソンの学生時代から死までを描いています。
英語の発音ではエミリ・ディキンスンの方が近いかもしれませんが、個人的にはエミリー・ディキンソンの方が響きが好きなので、ここでもエミリー・ディキンソンで通します(笑)

詩集は持っていますが、エミリーについてはバーバラ・クーニーの絵本『エミリー』くらいしか知らなかったので、いろいろ驚くことばかりでした。
生涯家からほとんで出なかった詩人ですが、内気というより気性は激しく、wikipediaにあった「人間と自然が好きな、活発で知的好奇心に満ちた文学少女で、感受性が豊かで、感情の起伏が激しく、自意識が強かった」の通りに感じました。

エミリー・ディキンソン エミリ・ディキンスン

家族にはもちろん、学校の先生、家に来たお客様にも、適当に合わせず、自分の意見を言うし、行動する。
「お皿が汚れている」と言った父の前で、そのお皿を床に叩きつけて綺麗になったでしょうと言った時には、さすがにお父さんよく耐えたなあと思ってしまいました。
一応、自分でも後で考えて悪かったと思ったら謝ったり、落ち込んだりしていましたが。
『赤毛のアン』のアンと似ているのかな?

エミリー・ディキンソン エミリ・ディキンスン

妹のラヴィニア(ヴィニー)が良き理解者で、エミリーが感情に任せて言った言葉に対してもきちんと自分の考え方を言うし、エミリーが言い過ぎたことを反省る言葉を言うと、それでも大好きと言うし、本当に貴重な存在だったと思います。
何だかんだ言いながらも、エミリーが深夜に詩を書くことを許した父も、いい方だったと。

エミリーや妹のラヴィニア、友人(名前を忘れてしまった)も全員ブロンテ姉妹の愛読者で、3度ほど名前が出ています。『嵐が丘』や『ジェイン・エア』も。
エミリーとあまりうまが合わなかった牧師夫人はブロンテ姉妹は暗いだけと言っていたから、好きな人は大好きだけれど、合わない人は合わない、当時ブロンテ姉妹は賛否両論だったのかもしれません。

エミリー・ディキンソン エミリ・ディキンスン

生涯ほとんどを家を離れず、家族とだけ過ごし、内に情熱を秘めていた点では、エミリー・ディキンソンは同じ名前のエミリー・ブロンテと似ている気がします。仲が良くて良き理解者の姉妹がいるという点では、エミリーとアンのブロンテ姉妹とも似ている気がしました(右の写真は映画『ブロンテ姉妹』)

エミリー・ディキンソン エミリ・ディキンスン ブロンテ姉妹

最後の方でエミリーが兄のオースティンと仲違いをする原因となるメイベル・トッド夫人はオースティンが亡くなるまで13年間仲が続いたそうですが、エミリーの詩が世に出ることに大きく関わったのは彼女のようです(後でラヴィニアと対立したそうですが)

エミリーの死の原因となったブライト病(腎臓疾患の一種)は、体の震えが止まらなくてとても苦しそうでしたが、治療方法は見つかったのでしょうか(Wikipedeiaに詳しい記述はなかったので)
映画では突然死のような感じでしたが、自分の葬儀のことまで考えて、葬儀には自分の詩ではなく、エミリー・ブロンテの詩、「私の魂は怯懦ではない/嵐に懊悩する世界にあって震え慄く者ではない」という言葉で始まる「No Coward Soul Is Mine」が朗読されたそうです。


アンモナイトの目覚め

映画『アンモナイトの目覚め』が今月10月のPrime Videoで100円でレンタルできたので見てみました。

Prime Video アンモナイトの目覚め

映画『アンモナイトの目覚め』公式サイト

映画予告『アンモナイトの目覚め』


イギリスの化石採集者で古生物学者のメアリー・アニング(1799年〜1847)の隠れた恋を描いた作品です。

ストーリー(映画.comより)

ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンという当代きっての演技派女優が初共演し、19世紀イギリスを舞台に、異なる境遇の2人の女性が化石を通じてひかれあう姿を描いたドラマ。1840年代、イギリス南西部の海沿いの町ライム・レジス。人間嫌いの古生物学者メアリー・アニングは、世間とのつながりを絶ち、ひとりこの町で暮らしている。かつて彼女の発掘した化石が大発見として世間をにぎわせ、大英博物館に展示されたが、女性であるメアリーの名はすぐに世の中から忘れ去られた。今は土産物用のアンモナイトを発掘し、細々と生計を立てている彼女は、ひょんなことから裕福な化石収集家の妻シャーロットを数週間預かることになる。美しく可憐で、何もかもが正反対のシャーロットにいら立ち、冷たく突き放すメアリー。しかし、自分とあまりにかけ離れたシャーロットに、メアリーは次第にひかれていく。実在した女性古生物学者メアリーをウィンスレット、シャーロットをローナンが演じる。



女性同士の愛の物語で、映画『キャロル』と比較された感想も見かけましたが、女性同士のラブシーンやラスト等は似ている気がします。
裕福な化石収集家マーチソンの夫人シャーロットはうつ病で、美しい海がある保養地ライム・レジスで療養すれば良くなるのではと、化石をいい値段で購入するついでに妻も見てくれと、メアリーは押し付けられてしまいます。

シャーロットのうつ病は映画『めぐりあう時間たち』で、ジュリアン・ムーアが演じた優しい夫と可愛い息子に囲まれ現在2人目を妊娠中で一見して幸せな主婦にも関わらず自殺を考えるローラと重なります。
シャーロットもローラも本来女性しか愛せないのに、誰もが羨むような恵まれた男性との結婚生活を送り、誰にも相談できず苦しんでいたのです。
メアリーもまた同性しか愛せないようですが、恋愛より化石の発掘に人生を捧げていました。一緒に暮らす年老いた母は10人の子どもを生みながら2人しか育たずこちらも心と体を病んでいました。

実はメアリー・アニングの伝記は子ども用ですがいくつか読んでいて、映画に特に参考になりそうなのが「メアリー・アニング (コミック版世界の伝記) 」です。

メアリー・アニング (コミック版世界の伝記)  ポプラ社

メアリー・アニング

こちらにはメアリーの年表や「メアリーが影響を与えた人たち」についても書いてあるのでかなり参考になります。
少女時代からの友人で地質学者のデ・ラ・ビーチと仄かな恋心を抱いたけど、階級差もあって結局は淡い想いで終わったと(このあたりはあくまで想像)
マーチソン夫妻、ロデリックとシャーロットとはメアリーが26歳の時にライム・レジスで出会っています。この時シャーロットは37歳。メアリーより11歳年上です。夫妻はロデリック23歳、シャーロット27歳の時に結婚していて、姉さん女房のシャーロットの方が先に地質学の勉強を始めて夫に影響を与え、友人となったメアリーが発掘した化石の多くを研究家に紹介し彼女を支えたそうです。
映画で描かれたメアリーの母モリーが亡くなるのは43歳。
もしメアリーが本当に女性の恋人がいたなら、32歳の時にライム・レジスを訪れ友人となったアンナ・マリー・ピニーの方が可能性が…。そもそもメアリーには子どもの頃一緒に化石を発掘した兄ジョゼフがいたのに、母の死の際にも登場しない。

映画はいろいろフィクションもあるようです。
こちらの方が映画『アンモナイトの目覚め』公開時の論争とメアリーの女友だちについて詳しく書かれていて参考になりました。

「Ammonite」メアリー・アニングと周囲の女性たちについて

実在の人物について、本や映画、ドラマで描かれた恋愛は必ずしもそうでないし、かといって完全否定もできない。
あくまで映画は映画で楽しんだ方がよいでしょう。

メアリー・アニングを演じるケイト・ウィンスレットは本来美人なのに体重を増やして、田舎の中年女性メアリーを熱演しています。
女性同士の恋愛は『ロード・オブ・ザ・リング』でアカデミー賞監督賞を受賞したピーター・ジャクソン監督の初期の作品『乙女の祈り』(1994)でも演じています。

乙女の祈り
『乙女の祈り』(1994)

アンモナイトの目覚め
『アンモナイトの目覚め』(2020)

個人的には『アンモナイトの目覚め』の恋愛は感情移入はできませんでいたが、メアリー・アニングが恐竜やアンモナイトを発掘したライム・レジスの風景や再現されたアニングの化石のお店を見られただけでもとても満足しています。

アンモナイトの目覚め

アンモナイトの目覚め

ライム・レジス(リージス)は、イングランドの西ドーセットにある町海沿いの街で世界遺産にも登録されています。
『高慢と偏見』等で知られるイギリスの女性作家ジェーン・オースティン(1775〜1817)も1804年、28歳の夏にに両親と姉カッサンドラと共にライム・レジスを訪れ、感銘を受けて、作品の舞台にもなっています。
『説き伏せられて(説得)』です。

映画『説き伏せられて』(2007)もPrime Videoで100円でレンタルできます。

Prime Video『説き伏せられて』

舞台が同じライム・レジスなので重なる風景があり感激しました。

アンモナイトの目覚め
『アンモナイトの目覚め』

説き伏せられて
『説き伏せられて』

令嬢ルイーザが飛び降りて怪我をする海岸の堤防が印象的でした。

説き伏せられて 説き伏せられて

メアリー・アニングの伝記『メアリー・アニングの冒険』『海辺の宝もの』にもジェーン・オースティンについて触れられていて、ジェーンがライムを訪れた時メアリーは5歳。当時は父リチャードがやっていた化石販売のお店にジェーンが訪れ、幼いメアリーと会った可能性もあるそうです。

メアリー・アニングの冒険 海辺の宝もの メアリー・アニング


『ロスト・キング 500年越しの運命』関連記事

映画『ロスト・キング 500年越しの運命』の良記事があったのでメモ

500年も行方不明「王の遺骨」主婦が発見した背景

リチャード3世関係は惹かれます。
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