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雛芥子茜の覚え書き

アンティーク、バラ、陶器の人形、綺麗な絵本、ヨーロッパ映画、バレエなど、好きなものを綴っています。

イサベル1世

学習漫画の世界の伝記シリーズを図書館で借りてはまっています。
ポプラ社、集英社、小学館、角川などで出していてそれぞれ特色があっておもしろい。
同じ人物を読み比べるとまたおもしろいです。

世界史の教科書で一行だけで終わってしまう人物や、よくこの人の伝記を出版しようと思ったなあと思うくらいマイナーな人物もいてとてもおもしろいです。

世界史の中でとても重要な人物にも関わらずその生涯について全然知らなかった女王の伝記も出版されました。

イサベル1世 (コミック版世界の伝記 53) ポプラ社

イサベル1世

Amazonの紹介文

15世紀、カスティーリャ王国の王女イサベルは、国王である兄から、望まない結婚を命じられます。しかしイサベルは、自分でアラゴン王国の王子フェルナンドを相手に選び、結婚しました。のちに、女王となったイサベルが治めるカスティーリャと、王となったフェルナンドの治めるアラゴンが統一されてスペイン王国となり、イサベルは建国の母とよばれるのです。イベリア半島からイスラム勢力を撤退させるレコンキスタ(国土回復運動)を終結させ、コロンブスの航海を支援したことで知られる偉大な女王の生涯を、コミックと記事でわかりやすく紹介します。



イサベル1世はカスティーリャ女王でアラゴン王フェルナンド2世と結婚しスペインを作った方で、アメリカ大陸を発見したコロンブスの援助者としても有名です。
アラゴン王フェルナンド2世以外にも縁談があり、その中にはイングランドのリチャード3世もいたそうです。リチャードファンとしてはもしイサベルと結婚していたらリチャードの運命も薔薇戦争の結果も変わってたかも…でもそうするとスペインはできないわけで…といろいろ想像してしまいます。

こちらが残っているイサベル1世の肖像画。

イサベル1世
イサベル1世(1451〜1504)

イサベル1世とフェルナンド2世の間に生まれた子どもたちの生涯も印象的です。
特に次女フアナと四女カタリナ。

一人息子のフアン王太子は王となることなく19歳で夭折。
長男のフアン、長女のイサベル(母イサベル1世と同じ名)が早逝うしたため次女のフアナが王位継承順位が1位となります。
フアナはハプスブルク家の神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の長男ブルゴーニュ公フィリップと結婚しますが、美貌の夫に夢中になり夫の度重なる浮気、そして夫の死により精神を病んでいきます。夫の死を認められずいつの日か眠りから覚めるとフアナは信じて、棺桶を持ち歩いていたと言われていて、それを描いたのがマドリードのプラド美術館所蔵のフランシスコ・プラディーリャ画『狂女フアナ』(1877)。なかなかフィリップの遺体を葬ることをせず立ち止まっては棺桶を眺めて儀式をやり始めるので廷臣たちも「またかよ…」と、フアナは正気を失ってるので露骨に嫌そうな顔をしています。

狂女フアナ
フランシスコ・プラディーリャ画『狂女フアナ』(1877)

『狂女フアナ』の絵画については中野京子氏の『名画で読み解く ハプスブルク家12の物語』がお勧めです。

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語

10年くらい前に行ったスペイン旅行ではマドリードのプラド美術館で『狂女フアナ』の絵画に感激し、グラナダの王室礼拝堂では、なんとイサベル1世とフェルナンド2世、フアナとフィリップの棺に会うことができました。
その時は『ハプスブルク家12の物語』の影響でフアナの棺に感動しましたが、その時に『イサベル1世』を読んでいたらと今は思います。

さてイサベル1世の末っ子で四女カタリナはイングランドのヘンリー7世のアーサー王太子と結婚します。カタリナは嫁いだ時に名前をイングランド風にキャサリンに改めます。アーサーが早逝したため、キャサリンはその弟ヘンリーと再婚します。そのヘンリーこそヘンリー8世です。キャサリンを始めとする6人の妻を持つことになる王です。
キャサリンは7度妊娠しますが育ったのは女児メアリーのみで男児が生めなかったため、無理矢理婚姻が無効とされ、キャサリンの侍女でありヘンリーの愛情を受けるようになったアン・ブーリンが新たな王妃となります。

イングランド王妃 キャサリン・オブ・アラゴン ヘンリー8世妃
イングランド王妃 キャサリン・オブ・アラゴン
(1487〜1536 在位:1509年6月11日〜1533年5月23日)

アン・ブーリン ヘンリー8世妃
イングランド王妃 アン・ブーリン
(1501年頃〜1536 在位:1533年5月28日〜1536年5月17日)

この肖像画でアンが身に着けているブーリン家のイニシャルのネックレスは漫画『セシルの女王』2巻の表紙のアンも身に着けています。そして娘のエリザベスへの形見となりますが4巻でヘンリー8世がエリザベスの首から引きちぎっていました(エリザベスは拾いましたが)。

セシルの女王

Wikipediaより
王妃の座を追われるキャサリンと、公衆の面前で愛をささやく国王とアン・ブーリン(19世紀画)
ヘンリー8世 キャサリン・オブ・アラゴン アン・ブーリン

キャサリン王妃かわいそうですね。
信じられませんがそれでもヘンリー8世のことは愛していたようです。

キャサリン王妃やアン・ブーリンは結婚してからヘンリー8世をなんて呼んでいたんだろう?と思っていました。主従関係や上司と部下だったのに、恋人同士だと周囲にばれてしまうのは下である人物が上位の人を名前で呼んだ時だから、妻である彼女たちが呼ぶ時ははあの偉そうな人をヘンリー呼び?
ヘンリー8世の側近トマス・クロムウェルを描いたドラマ『ウルフ・ホール』(2015)では、キャサリンもアン・ブーリンも「マイ・ロード(my lord)」と呼び常に彼を立てていたようです。


2015 Wolf Hall Official Trailer

ロオイヤルドルトンのフィギュリンのシリーズ、ヘンリー8世と6人の妻たち。
手前の右端がヘンリー8世の最初の妻キャサリン・オブ・アラゴン、後ろの左端が2番目の妻アン・ブーリンです。

ヘンリー8世と6人の妻たち ロイヤルドルトン フィギュリン

セシルの女王

欧米を舞台にした歴史漫画が大好きです。
今一番面白いのがこの『セシルの女王』。

イングランド女王エリザベス1世の即位から晩年に至るまでの重臣、バーリー男爵ウィリアム・セシルの物語です。
現在4巻まで発売されていて10月30日に5巻が発売されるそうです。

セシルの女王 セシルの女王

Amazonの紹介文

1巻
時は1533年、イングランド。
善悪の尺度も命の行方も不確かな時代に、明日を夢見る少年が居た。
ウィリアム・セシル、12歳。
王に仕えることで出世を目論む彼は、衣装担当宮内官である父に連れられ、初めて城へと登る。
しかしそこに君臨していたのは、暴虐な絶対君主・ヘンリー8世だった。
“ここでは人の優しさや寛容には必ず裏がある”
“誰かが誰かを、常に見張ってる”
横行する暴力と裏切り、派閥争いや不貞。
夢見ていた宮廷との差に落ち込んだ少年は、その夜、王妃アン・ブーリンと出会い、
彼女のお腹の中の子……
未来の“王”に仕えることを誓うが――



2巻
1533年9月7日、イングランド。
王子出産を嘱望された王妃アン・ブーリンが産んだのは、
エリザベスという名前の女児だった――
ローマ・カトリック教会に逆らってまで前王妃・キャサリンと離婚し
跡継ぎを産ませるべくアンと再婚した国王ヘンリー8世は激怒し、
キャサリンの一粒種であり、王位継承権をエリザベスに奪われたメアリは
傷ついた心の行き場を探していた。
次第に追い詰められていくアン。
彼女を慕う少年、ウィリアム・セシルは、
御簾越しにある誓いを立てる。
“俺がエリザベス様をこの国の女王にします”――
テューダー朝第5代にして最後の大君主・エリザベス1世と
彼女を支えた忠臣の物語。



残っている肖像画はこちら。

ウィリアム・セシル
ウィリアム・セシル(1520〜1598年)

彼が使えたエリザベス1世(1533〜1603)より13歳年上です。

映画ではケイト・ブランシェット主演の『エリザベス』(1998)ではリチャード・アッテンボロー。

ウィリアム・セシル

『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』(2018)ではガイ・ピアースが演じています。

ウィリアム・セシル

ガイ・ピアース、『L.A.コンフィデンシャル』(1997)のエリート刑事が似合っていたけどやっぱりイケメンです。さすが英国美俳優(画像まで探してきたw)

ガイ・ピアース L.A.コンフィデンシャル
L.A.コンフィデンシャル

ウィリアム・セシルはエリザベス1世に仕えていたこともあり、エリザベスの母アン・ブーリンは悲劇の女性として描かれています。
一応若い頃は美形だったというヘンリー8世は笑ってしまうくらいこの肖像画のままで、女性好きで妃や娘に暴力も振るう、王としても夫や父としても暴君です。

ヘンリー8世
ヘンリー8世

女性好きはヨーク家のエドワード4世の孫だからかなあ…と、『薔薇王の葬列』のプレイボーイなエドワード兄さんを思い出します。

薔薇王の葬列

愛され悪女が消えた世界

8月2日からピッコマで連載が始まった『愛され悪女が消えた世界』が面白いです。

ピッコマ『愛され悪女が消えた世界』

内容というよりタイトルの「悪女」が少し今までとは違った視点で。

下記はピッコマの紹介文です。

「シエナ、私はあなたが嫌いよ、殺したいくらい」 一生をかけて尽くしてきた最愛の姉に裏切られた。 私が選択できたのは、自らの死のみ。 「ごめんねお姉様、私を殺したいという願いは聞いてあげられないわ」 しかし…死して時を遡った私に対する、周りの態度が違い過ぎる。 「大公閣下はあなたを家族同然と認めていらっしゃる」 何かが間違ってる。この人たちは私をお姉様だと勘違いしているようだ。 「お願いだから信じてくれ、私たちがお前を大切に思ってることを」 いつかは愛されたかった。しかし裏切りはもうたくさんだ。 私は私の人生を取り戻す。愛することをやめれば、傷つくこともないのだから――



大公家に魔力を持つことから姉妹として育てられたロレイナとシエナ、大公家は大公とその2人の息子、使用人に至るまで、金髪で明るく強い魔力を持つ貴族出身のロレイナは愛されたものの、茶色の髪で孤児院出身、内気で微力な魔力のシエナは疎まれ、ただ一人優しいロレイナに次第に心を支配されていく。
実は本当に魔力が強いのはシエナの方で自分の魔力をロレイナにだまし取られ、ロレイナに騙されて使用人のような待遇でも大公家で働いていても認められず、ついに無実の罪を着せられ、処刑前に牢を訪れ嘲笑うロレイナを前に毒を飲み自ら人生を終われせた…そのつもりが10年前の孤児院にいた頃のシエナに戻ってしまう。

回帰した世界で諸悪の根源であるロレイナがなかな登場せず、大公家に引き取られたシエナは打って変わって大公一家にも使用人たちにも大切にされる。けれど回帰前の記憶が残るセシエナは心が開けない。

この漫画の原題は「사랑받는 언니가 사라진 세계(愛される姉が消えた世界)」、『愛され悪女が消えた世界』だと昨今多い主人公が悪女なのかと誤解しそうです(私は最初そう思いました)。

愛され悪女が消えた世界

シエナの最大のトラウマ、悪女ロレイナが消えた世界の物語なんですね。先行している韓国のカカオページの方では40話まで更新されていますがロレイナは出てきていません。

物語の核心となる悪女が出てこないにも関わらずその悪女の存在感がある物語といえば、私の中では宮部みゆきの『火車』、ダフネ・デュ・モーリアの『レベッカ』です。

火車  レベッカ

宮部みゆき 『火車』 (新潮文庫)

ダフネ・デュ・モーリア (著), 茅野 美ど里 (翻訳)
『レベッカ』(上) (新潮文庫)
『レベッカ』(下) (新潮文庫)

『火車』は休職中の刑事が行方不明になった女性の行方を追ううちに、彼女と関わった人たちの話を少しずつ繋いでいくうちに、この女性はとてつもない犯罪者級の悪女なのかもしれないと気付いていきます。話を聞いた関係者たちが饒舌で伏線と見せかけて関係ないことまで話す始末。でも彼女がどんな顔立ちなのか、何を考えてそのようなことをしたのか分からない。不思議でゾッとする物語でした。

『レベッカ』は身寄りのない主人公が貴族と恋に落ち、後妻に迎えられお城の女主人に迎えられるものの、その城には最初の女主人の影が付きまとう。幽霊ではなく、かつての女主人レベッカの忠実な侍女の冷たい態度、城を訪れる客人たちのレベッカについての話、城のあちこちに残るレベッカのイニシャル入りの持ち物が恐怖をそそります。

『火車』『レベッカ』のラストはとても見事で、読後感が全く違いました。

『愛され悪女が消えた世界』がどうなっていくのかとても楽しみです。
表紙からすると大公家長男のアシエルが相手役の気がしますが。
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  • Author:雛芥子茜(サンドラ)
  • 小説サイト:https://mypage.syosetu.com/2193724/
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