ベルサイユのばら 第11巻
2014/10/10 (Fri)
40年ぶりに出版された『ベルサイユのばら』11巻。
続編ではなく、アンドレ、ジェローデル、フェルゼン、アランの4人のエピソードを集めた短編集です。
様々な思いはありますが、まずはおもしろかった!
1冊でこれほど濃密な物語がつまった漫画作品は、なかなかないでしょう。
ただ、絵の変化、表現の変化が気になったのは否めません。
連載直後に書かれた「黒衣の伯爵夫人」以外の外伝、続編は、登場人物の名前は同じでも、もうベルばらとは別作品の気がします…。
外伝、絵が違いすぎて、最初、先生以外の方が描かれたと思いました。
続編ともいうべきナポレオンの生涯を描いた『エロイカ』、タイトルが変わって『栄光のナポレオン』、今は『皇帝ナポレオン』のようです。
アラン、ロザリー、ベルナールが登場します。
絵も性格も微妙に違った上、悲しい結末で、ナポレオンが栄光を掴む頃からは飽きてしまって、2、3回しか読んでいません。
11巻の「フェルゼン編」の、マリー・テレーズ王女とフェルゼンが再会し、あまりに王女がアントワネットに似ていて、フェルゼンが涙するシーンは、先に池田先生著『フランス革命の女たち』1でそのエピソードを読み、ベルばらの絵を想像して涙したのですが、絵が変わってしまったので、とても「そっくり」に見えませんでした。
ちなみにこの『フランス革命の女たち』は、絵画も多く、読みやすく、それぞれ懸命に時代を生きた女性たちを敬意を持って描いた、素晴らしい書籍でした。フランス革命をより詳しく知りたいと思いました。
こういう作品を読むと、やはり池田先生はやはり素晴らしいと心から思います。
やはり絵の変化…。
カラーの色使いも昔と違うんですよね…。
完全版ということで、旧作にせっかく色を塗っていただいたカラーページも、なんだか違っていました(表紙は昔のカラーです)。
漫画のコマ割りや表現も変わってしまったんですよね。
突如ギリシャ神話の服装になったり、裸になったり。今まで読んできた『なかよし』等の漫画とは表現が違うので、子ども心に結構衝撃的でした。
それから、"美人"が、みんな同じに見えてしまうのです。
アンドレの幼馴染マリー・クリスティーヌ、 『エロイカ』のナポレオンのポーランド妻マリア・ヴァレフスカ、『聖徳太子』の刀自古、『春の雪』の聡子、(池田先生は原作・脚本・構成ですが)『ニーベルンクの指輪』のクリームヒルト、顔も性格もみんな同じタイプなんですよね。
前列、真ん中の女性が刀自古。
クリームヒルトが表紙。
原作は三島由紀夫のとても美しい長編なのに、レディコミっぽかった…。
この美人タイプ、みんな唇が赤くて、登場シーンには綿毛かぼた雪のような丸いものが舞っている。唇が赤いのは『おにいさまへ…』の信夫マリ子さんがあまりに印象的だったのでなんだかなあ…。口紅だと分かるけど、塗ってない人もいるので違和感。そしてみんなやたらと、だらだら泣く(それは男性キャラもだけど)。聡明な割には、騙されやすいようで、自分が愛人となっている相手が、権力を狙っている極悪人だと知って真っ青になって「ああ…」と嘆く。
いろいろ書いていますが、ファンなので、出る作品をほとんど読んでいるのです…。
ベルばらも最初の頃と最後の方では絵がとても違っていますし、それぞれの性格も少しずつ変化しているのですが、何かが違う。
肝心のオスカルは絵が変わりすぎて今一つでしたが、父君のジャルジェ将軍は思わぬ活躍で、とても良かったです。フェルゼンとの再会後は、ロシアに行くようですが、エカテリーナ女帝とは会うのでしょうか。
「アンドレ編」はオスカルの顔立ちは比較的昔に近かったけれど、「ジェローデル編」ではまた崩れている…。ジェローデルのママンは、ベルばらより『エロイカ』や『天の涯まで―ポーランド秘史』に出てきそうな、よそに若い愛人がいるマダム。こういうタイプも『オルフェウスの窓』では魅力的に描かれていたんだけどな。アントニーナとか。
「アラン編」は一番読み応えがあって、成長したル・ルーの登場には、やはりとても感激しました。二度目の外伝よりも、こちらのル・ルーの方が好きです。オスカルの血を引いているだけあって、とてもきれいになっていた。
ただ、ロザリーがいちいちストールを抑えているのは、『エロイカ』の時から気になっています。家事の時、邪魔にならないのかな。『ダントン』や『レ・ミゼラブル』等、時代ものを見ても、強風以外に無闇に抑えている女性はいないのですが。
NHKの朝ドラばりに、人物にかなりの脚色が入っていますが、知られざるポーランド史で、良かったと思います。
ベルばらの次に描かれた作品。なんといっても信夫マリ子さん!NHKで放送されたアニメも良かったです。
池田先生の作品で一番好きです。この2人の寄り添う姿をみるだけで泣けます。ユスーポフ侯爵も素敵だった。
いろいろ書きましたが、あくまで『ベルサイユのばら』が大好きということで、もちろん11巻も、もう2か月間、何回も読み返しています。
これからもいくつかエピソードを描かれるそうで、楽しみに待っています。
それでも…。
複雑ですが、ファンサイトさんの方が、今やかつてのベルばらの世界を保っているような気がします。
リンクフリーとのことなので、 Mon Coeur 様
昔のままのオスカル、アンドレ、アランもジェローデルもいました。原作に敬意を持たれていて、愛情があって、とても素敵なのです。
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続編ではなく、アンドレ、ジェローデル、フェルゼン、アランの4人のエピソードを集めた短編集です。
様々な思いはありますが、まずはおもしろかった!
1冊でこれほど濃密な物語がつまった漫画作品は、なかなかないでしょう。
ただ、絵の変化、表現の変化が気になったのは否めません。
連載直後に書かれた「黒衣の伯爵夫人」以外の外伝、続編は、登場人物の名前は同じでも、もうベルばらとは別作品の気がします…。
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外伝、絵が違いすぎて、最初、先生以外の方が描かれたと思いました。
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続編ともいうべきナポレオンの生涯を描いた『エロイカ』、タイトルが変わって『栄光のナポレオン』、今は『皇帝ナポレオン』のようです。
アラン、ロザリー、ベルナールが登場します。
絵も性格も微妙に違った上、悲しい結末で、ナポレオンが栄光を掴む頃からは飽きてしまって、2、3回しか読んでいません。
11巻の「フェルゼン編」の、マリー・テレーズ王女とフェルゼンが再会し、あまりに王女がアントワネットに似ていて、フェルゼンが涙するシーンは、先に池田先生著『フランス革命の女たち』1でそのエピソードを読み、ベルばらの絵を想像して涙したのですが、絵が変わってしまったので、とても「そっくり」に見えませんでした。
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ちなみにこの『フランス革命の女たち』は、絵画も多く、読みやすく、それぞれ懸命に時代を生きた女性たちを敬意を持って描いた、素晴らしい書籍でした。フランス革命をより詳しく知りたいと思いました。
こういう作品を読むと、やはり池田先生はやはり素晴らしいと心から思います。
やはり絵の変化…。
カラーの色使いも昔と違うんですよね…。
完全版ということで、旧作にせっかく色を塗っていただいたカラーページも、なんだか違っていました(表紙は昔のカラーです)。
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漫画のコマ割りや表現も変わってしまったんですよね。
突如ギリシャ神話の服装になったり、裸になったり。今まで読んできた『なかよし』等の漫画とは表現が違うので、子ども心に結構衝撃的でした。
それから、"美人"が、みんな同じに見えてしまうのです。
アンドレの幼馴染マリー・クリスティーヌ、 『エロイカ』のナポレオンのポーランド妻マリア・ヴァレフスカ、『聖徳太子』の刀自古、『春の雪』の聡子、(池田先生は原作・脚本・構成ですが)『ニーベルンクの指輪』のクリームヒルト、顔も性格もみんな同じタイプなんですよね。
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前列、真ん中の女性が刀自古。
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クリームヒルトが表紙。
![]() | 春の雪 (2006/02) 三島 由紀夫、池田 理代子 他 商品詳細を見る |
原作は三島由紀夫のとても美しい長編なのに、レディコミっぽかった…。
この美人タイプ、みんな唇が赤くて、登場シーンには綿毛かぼた雪のような丸いものが舞っている。唇が赤いのは『おにいさまへ…』の信夫マリ子さんがあまりに印象的だったのでなんだかなあ…。口紅だと分かるけど、塗ってない人もいるので違和感。そしてみんなやたらと、だらだら泣く(それは男性キャラもだけど)。聡明な割には、騙されやすいようで、自分が愛人となっている相手が、権力を狙っている極悪人だと知って真っ青になって「ああ…」と嘆く。
いろいろ書いていますが、ファンなので、出る作品をほとんど読んでいるのです…。
ベルばらも最初の頃と最後の方では絵がとても違っていますし、それぞれの性格も少しずつ変化しているのですが、何かが違う。
肝心のオスカルは絵が変わりすぎて今一つでしたが、父君のジャルジェ将軍は思わぬ活躍で、とても良かったです。フェルゼンとの再会後は、ロシアに行くようですが、エカテリーナ女帝とは会うのでしょうか。
「アンドレ編」はオスカルの顔立ちは比較的昔に近かったけれど、「ジェローデル編」ではまた崩れている…。ジェローデルのママンは、ベルばらより『エロイカ』や『天の涯まで―ポーランド秘史』に出てきそうな、よそに若い愛人がいるマダム。こういうタイプも『オルフェウスの窓』では魅力的に描かれていたんだけどな。アントニーナとか。
「アラン編」は一番読み応えがあって、成長したル・ルーの登場には、やはりとても感激しました。二度目の外伝よりも、こちらのル・ルーの方が好きです。オスカルの血を引いているだけあって、とてもきれいになっていた。
ただ、ロザリーがいちいちストールを抑えているのは、『エロイカ』の時から気になっています。家事の時、邪魔にならないのかな。『ダントン』や『レ・ミゼラブル』等、時代ものを見ても、強風以外に無闇に抑えている女性はいないのですが。
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NHKの朝ドラばりに、人物にかなりの脚色が入っていますが、知られざるポーランド史で、良かったと思います。
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ベルばらの次に描かれた作品。なんといっても信夫マリ子さん!NHKで放送されたアニメも良かったです。
![]() | オルフェウスの窓(15) (2014/01/27) 池田理代子 商品詳細を見る |
池田先生の作品で一番好きです。この2人の寄り添う姿をみるだけで泣けます。ユスーポフ侯爵も素敵だった。
いろいろ書きましたが、あくまで『ベルサイユのばら』が大好きということで、もちろん11巻も、もう2か月間、何回も読み返しています。
これからもいくつかエピソードを描かれるそうで、楽しみに待っています。
それでも…。
複雑ですが、ファンサイトさんの方が、今やかつてのベルばらの世界を保っているような気がします。
リンクフリーとのことなので、 Mon Coeur 様
昔のままのオスカル、アンドレ、アランもジェローデルもいました。原作に敬意を持たれていて、愛情があって、とても素敵なのです。