fc2ブログ

雛芥子茜の覚え書き

アンティーク、バラ、陶器の人形、綺麗な絵本、ヨーロッパ映画、バレエなど、好きなものを綴っています。

児童文学『ぼくが消えないうちに』と映画『屋根裏のラジャー』

ニュースを見ていたらスタジオポノックの最新作映画『屋根裏のラジャー』の紹介がありました。
あまりに短い予告あったけれどヨーロッパが舞台かな?原作はなんだろうと気になりました。

『屋根裏のラジャー』 公式サイト

映画『屋根裏のラジャー』予告①【12月15日公開】


スタジオポノックはスタジオジブリを退社した西村義明プロデューサー(『思い出のマーニー』『かぐや姫の物語』)が、同じくジブリを退社した米林宏昌監督(『借りぐらしのアリエッティ』『思い出のマーニー』)の新作映画を作るために設立したアニメ制作会社です。

スタジオポノックのアニメーション映画初制作作品が『メアリと魔女の花』でした。

「メアリと魔女の花」予告編


その原作が古い図書館の書庫や昔本好きだった少女の本箱に眠っているような本『小さな魔法のほうき』だったのです。

小さな魔法のほうき
『小さな魔法のほうき』(1975 あかね書房)
メアリー・スチュアート (著), 掛川 恭子 (翻訳)

現在は『メアリと魔女の花』のタイトルで新訳が出ていますが岩波少年文庫の「フランバーズ屋敷の人びと」シリーズなぞ数々の名作を翻訳された掛川恭子さんの翻訳も児童文学好きとしては魅力なのです。

前置きが長くなりましたが『屋根裏のラジャー』の予告を見て、話しかける猫に不気味な黒髪の少女、あれ?このお話知ってるかも…もしかして『ぼくが消えないうちに』かな?と思ったらやはりそうでした。

ぼくが消えないうちに

『ぼくが消えないうちに』
A.F. ハロルド (著), エミリー グラヴェット (イラスト), こだま ともこ (翻訳)

ポプラ社の『ぼくが消えないうちに』特集ページ
人物紹介あり

Amazonの紹介文を引用します。

ラジャーは、少女アマンダが想像してつくり出した親友だ。
ふたりはいつも一緒に、楽しい時間をすごしていた。
しかしある日突然、アマンダがいなくなり、ラジャーはひとりぼっちになってしまう。
アマンダに忘れられると、ラジャーはこの世から消えてしまうというのに。
さらに、子どもたちの想像力を盗む、不気味な男もあらわれて…。
大切な友だちを探すため、ラジャーの旅がはじまった……!
子ども時代の不安や喜びをスリリングな展開で描く、イギリス発のファンタジー。
人気画家、エミリー・グラヴェットの挿絵入り。



この作品は本屋さんのお勧め作品としてよく出ていて私もそれで読みましたがタイトルも表紙も地味なのか、あまり子ども受けはしていない…気がします。
挿絵のエミリー・グラヴェットさんはケイト・グリーナウェイ賞を受賞者で、ページが1ページ丸々真っ黒だったり、とてもカラフルな色彩、愛嬌ある動物たちなど、ページをめくればとても魅力的です。
表紙も消えそうな(ほかの人には見えない)ラジャーに葉っぱ差し出すアマンダで、逆さにするとはっきりしているラジャーとカラフルな花を差し出すアマンダででおもしろいです。

ぼくが消えないうちに ぼくが消えないうちに

少女アマンダは想像力豊かな女の子で想像の友だちの少年ラジャーを作り出ます。
ラジャーは想像の子どもだけれどちゃんと自分で考えられるし行動もできます。
ただし自分の存在を信じるアマンダがいれば。
ある日、アマンダが交通事故にあいます。
次第に薄くなっていくラジャー、アマンダは死んでしまったのか?
アマンダが病院に連れていかれてさまように助けてくれたのが赤と青の左右違う色の瞳の猫ジンザンでした。

この物語は子どものための本ですが、昔子どもで本が好きだったり想像の友だちがいた大人たちのための物語でもあります。
ラジャー初登場が洋服箪笥なのはC・S・ルイスのナルニア国物語シリーズ、アマンダ以外にラジャーが見える不気味な男バンティング氏はエンデの『モモ』に登場する時間どろぼうのよう。

そしてここから一部ネタバレです。結末については触れていません。

アマンダのママのリジーがかつて想像した犬のレイゾウコのエピソードにせつなくなります。
リジーはアマンダがするラジャーの話に合わせてはいるけれど本当はいるとは思っていない。そして自分にも想像の友だちがいたことも忘れている。
子どもの想像で作り出された友だちは忘れられて消える前に、他の子どもの想像の友だちになることもできます。
どんな友だちたちが集まる場所で、ラジャーはレイゾウコと会います。

想像の犬を飼うのはフィリパ・ピアスの『まぼろしの小さい犬』を思い出しました。ピアスの代表作は『トムは真夜中の庭で』ですが、それに並ぶすばらしい作品だと思います。

まぼろしの小さい犬

一番の盛り上がりはバンティング氏との対決ですが、大人になった身としてはアマンダのママ、リジーがかつて想像の友だちを持っていたこと。忘れていたけれど思い出したことがもっともせつなく泣けました。リジーとレイゾウコは再会できるのかも見どころです。

『屋根裏のラジャー』の公開を機に『ぼくが消えないうちに』が多くの方に読まれることを期待しています。

カレンダー(月別)

01 ≪│2024/02│≫ 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 - -

プロフィール

雛芥子茜(サンドラ)

  • Author:雛芥子茜(サンドラ)
  • 小説サイト:https://mypage.syosetu.com/2193724/
    twitter: http://twitter.com/bisenco
    mail: sandra_w24@hotmail.com

最新記事
最新コメント
カテゴリー
ブログ内検索

リンク