アレクサンドラ・イザベルの日記

嬉しいこと、悲しいこと、日々徒然…。

私の男

私の男私の男
(2007/10/30)
桜庭 一樹

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 『赤朽葉家の伝説』がとても気に入ったので、続けざまに桜庭さんの作品を図書館でリクエストして読んでいます。
 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』『少女には向かない職業』は個人的にはあまり好きではありませんでした。
  『ロード・オブ・ザ・リング』以前のピーター・ジャクソン監督が、十数年前に撮った映画『乙女の祈り』と雰囲気が似ているような気がする。初めから少女の身に何が起こったか分かっていて、結末に向かって悲劇が起こる。血の匂い(“香り”ではなく“匂い”)や感触がリアルで、結末が救いがなくて、いまだに「夢見たっていいじゃないか」のバカな私には合いませんでした。

 でも『私の男』は素晴らしかった!
 血の匂いも感触もするのだけれど、おそらく主人公2人はそれさえも嘗めつくしてしまうほど深く…つながっている(この場合“つながっている”でいいのかな。もっと相応しい言葉がありそう)。

 短いながらすべてを失っていいほど愛し合える、愛しつくすのって、長い人生を考えると嫌ではあるのですが(周囲に迷惑かかるし)、それでも憧れます。『愛人(ラマン)』とか映画『ベティ・ブルー』とかいいな。
 1週間くらいなら…、切ないし短いな。10日間…は長すぎるか。そういえばミッキー・ロークとキム・ベイシンガー主演の『ナインハーフ』という映画がありました。日本語に直すと「9日半」、実は見ていないけれど(笑)、「9日半」てちょうどいい。

 淳悟は豊川悦司さんと『家族の肖像』の時のヘルムート・バーガー様のイメージかなあ。
 花はマルグリット・デュラス(『愛人(ラマン)』の作者)のイメージ。
 映画の『レオン』もちょっと思い出す。

 完全な映像化は無理でしょう。花が“私の男”を抱きしめたのが“9歳”故に。
 この作品は男の人が書いていたらさすがに共感できなかったかもしれない。
 子どもに親は選べない。出生に秘密を抱えて生まれてきて、9歳にして身寄りがなくなってしまった花。その少女に愛を押し付けていいのかと…
 ただ花も愛している。それが悲しいくらい伝わってきて、抱きしめてしまった気持ちが分かるのです。
 愛することや運命の出会いは人それぞれだけれど、源頼朝の娘の大姫(7歳)とか、『千と千尋の神隠し』の千尋(10歳)とか、幼くても大人にも負けないほどの、純粋ゆえにそれ以上のものが、時にあるような気がします。

 マルグリット・デュラスは『愛人(ラマン)』の中で18歳にして老いてしまったと書いていたけれど(それは人間としてではなく、女としてだと思う)、花はもっと早かったかもしれない。
 でも人間としては、人間の女としては、妻として母として普通に周りに溶け込んでやっていけるような気がします。

 読み終わってから第1章を読み返して、もう一つ思い出した。
 『オペラ座の怪人』。
 闇の中で、闇の歌を天使の声で歌う少女。深い絆と別れ。
 “あなたは一人ぼっちじゃない”ことは、言わなくても淳悟は分かりすぎるくらい分かっていると思うけれど。それが悲しい。
 『赤朽葉家の伝説』も思ったけれど、桜庭さんは悲しく情けない男の人を書くのが上手だと思う。その中で淳悟は一番の美男でした。
 そして自分を省みない私は美しい男の人が大好きなのです。


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ターシャ・テューダーさん死去

 アメリカの絵本作家で園芸家のターシャ・テューダーさんがお亡くなりになりました。

 ターシャ・テューダーさん死去 米絵本作家(共同通信)

 どこか懐かしいヴィクトリアン風の少年少女、庭、花々、犬など、優しく暖かい色彩で描く彼女の世界が大好きでした。

 23歳で結婚し、その同じ年に絵本作家としてデビュー。
 4人のお子さんを育てながら、80冊もの本の絵を手がけました。
 46歳の時に離婚され、50歳代半ばよりバーモント州の小さな町のはずれで自給自足の一人暮らしを始め、1800年代の農村の生活に学び、広大な庭で季節の花々を育て続ける生活は、日本のテレビでも紹介され注目を集めました。
 彼女の飼い、絵本の中にもたびたび登場するコーギー犬も人気者となりました。

 ターシャさんの絵本を読むようになったのはここ2、3年、大人になってからですが、庭や子どもや花々、彼女の世界が大好きでした。
 心よりご冥福をお祈りします。
 彼女の残した絵本、そして自然を愛する心が、ずっと多くの人の中に残り続けますように。

 ターシャの庭が大好きでした。

ターシャ・テューダーのガーデンターシャ・テューダーのガーデン
(1997/04)
トーヴァ マーティンターシャ テューダー

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最近読んだ本

 日本の作家の作品ですが、ドイツやイタリアが舞台です。
 いつかきちんと感想を書きたい。
 
伯林蝋人形館伯林蝋人形館
(2006/08)
皆川 博子

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 1920年代のドイツを舞台に、6人の男女によるショート。全部つながっています。
 最初の主人公、貴族で士官学校出身のアルトゥールを中心に、幻想的で退廃的な物語。
 皆川さんの作品で一番好きな『死の泉』と重なる部分はあるかな。エピローグでちょっとしたどんでん返し。
 『死の泉』ではそのエピローグに、迷宮に迷い込んだような、酔ってしまったような感覚があったけれど、『伯林〜』ではこのエピローグがない方が個人的にはハッピーエンドとも取れて良かったような気がする。
 みんな傷ついた人ばかりだし、アルトゥール贔屓なので。おっと、最後のエピローグで明かされる“作者”もそれ故にこの物語を書いたのか。


ヘルマフロディテの体温ヘルマフロディテの体温
(2008/04/03)
小島 てるみ

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最後のプルチネッラ (Style-F)最後のプルチネッラ (Style-F)
(2008/04/03)
小島 てるみ

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 上記2作を同時出版されデビューしたばかりのの小島てるみさんの作品。
 どちらもイタリアのナポリが舞台。
 どちらも少年が主人公。少しだけ萩尾望都さんの作品の雰囲気に似ているかな。『マージナル』とか。それから長野まゆみさんにも。

 『最後のプルチネッラ』が好き。
 即興仮面喜劇(コメディア・デラルテ)の、ナポリを象徴する道化“プルチネッラ”。
 美貌の貴公子ルカと大道芸人ジェンナーロは、舞台「最後のプルチネッラ」の稽古を通じてナポリを象徴する道化<プルチネッラ>の謎に迫る…
 これは素晴らしかった。後ほどきちんと感想を…書けたらいいなあ。


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レイチェル

レイチェル (創元推理文庫)レイチェル (創元推理文庫)
(2004/07)
ダフネ・デュ モーリア

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 おもしろかった!
 これは主人公が男性で一人称の文章ですが、ヒロインのレイチェル視点で書いたらどんな物語になるんだろう。
 すごくおもしろかったので長々と感想を書いている途中です。いろんな考えが浮かんで頭の中をぐるぐるしています。



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ノーサンガー・アベイ

 いろいろ本は読んでいるのだけれど、きちんとした感想どころかメモもしていない。
 というわけでメモ程度になるかもしれないけれど、まずは『ノーサンガー・アベイ』。

ノーサンガー・アベイノーサンガー・アベイ
(1997/10)
ジェーン オースティン

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 英国の女流作家ジェイン・オースティンの初期の作品。
 映画『ジェイン・オースティンの読書会』がすっかり気に入ってしまって読んでみました。
 その前にオースティンの翻訳本は、直訳なのか日本語としてとても読みにくいものが多いので(ある程度意訳してもいいから日本語として意味が通じるようにしてほしい)、買うときには同じタイトルのものがあったら最初の数ページを読み比べてから購入をお勧めします。『エマ』はロマンティック・コメディ的内容なのに、中公文庫版は眠くなりました(ごめんなさい)。オースティンはもちろんのこと、翻訳本はたいてい新訳の方がいいです。『エマ』のお勧めはこちらです。 前置きが長くなりましたが、この『ノーサンガー・アベイ』は1997年に訳された新訳で読みやすかったです。
 映画『ジェイン・オースティンの読書会』で読書会に参加した唯一の男性グリッグ(オースティンよりも会の参加者ジョスリンと親しくなりたかった)が「一番短いから僕が読むのはこれにしよう!」と選んだ作品。オースティン作品にしては短いです。

 19世紀初頭の英国、ヒロインのキャサリン(中流の真ん中よりちょっと上くらいの出身)は10人兄弟の四番目の女の子で長女。
 特別美人ではないけれど、特に頭がいいわけではないけれど、人を疑わない、ちょっと夢見がちな女の子。田舎育ちの彼女が良家の人々が集まる社交場で温泉保養地のバースに、家族と離れて初めてやってくることから始まります。
 初めて心ときめく人ティルニー氏、初めての親友イザベラとの出会い。ティルニー氏(キャサリンより良い家柄の出身)と少しでも親しくなりたくて、その妹エリナーと親しくなろうとするのですが、親友イザベラとその兄のジョン(キャサリンに好意)がそろって勘違いな言動で邪魔をするする…

 幸運なことにティルニー氏のお父さんティルニー将軍はキャサリンを気に入ったようで、娘と仲良くしてくださいと自分の屋敷ノーサンガー・アベイに招待してくれる。
 道中は憧れのティルニー氏と一緒の馬車。キャサリンはゴシックロマン小説を読むのがすきなのですが、ティルニー氏も読んでいることを嬉しく思います。
 ノーサンガー・アベイ(僧院)は、もともと古い僧院を改装した屋敷。ティルニー氏は真面目な好青年なのですがお茶目さんなのか「家は実はいろいろ怪異なことがあるんですよ」と、秘密の地下道がとか、拷問器具のある部屋があるとか、キャサリンを脅す脅す。キャサリンも「嘘でしょう?」と言いつつゴシックロマンの愛読者。つい想像をめぐらせて、ちょっと冷たいところがあるティルニー氏の父の将軍が、今は亡き妻を実は殺したのではと思い込み、締め切った夫人の部屋を探そうとします。

 オースティンの代表作『高慢と偏見』ほどは心に残りませんでしたが、脇役にいたるまで人物が魅力的。主人公の幸せを祈りつつ、勘違いさんやどうしようもない人の描き方がうまくて、「お前がそれを言うかあ」などといろいろツッコミ。この場合はキャサリンの親友のイザベラとその兄のジョンのソープ兄妹ですが、この二人のせいでキャサリンの家はすったもんだがあるのですが、キャサリンの両親がいい人で、大騒ぎしたり、喧嘩したりしないで、子どもたちの不幸も幸福も穏やかに優しく受け入れてくれるのが素敵です。
 
 読後感は爽やか。ハッピーエンドです。
 『ジェイン・オースティンの読書会』ではオースティンの6冊の本が出てきますが、映画を見た時点で、4冊は読んだり映画を見たりしていましたが2冊『ノーサンガー・アベイ』と『マンスフィールド・パーク』は未読。『ジェイン〜』のグリッグではないけれど短いからと先に『ノーサンガー・アベイ』を読みましたが『マンスフィールド・パーク』も買ってきたので近いうちに読みます。 

 
マンスフィールド・パークマンスフィールド・パーク
(1998/10)
ジェーン オースティン

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 『マンスフィールド・パーク』は大学の時、集英社版を読みかけて訳が読みづらくて挫折。上記『マンスフィールド〜』は新訳で読みやすそうなので楽しみです。


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赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説赤朽葉家の伝説
(2006/12/28)
桜庭 一樹

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 「このミステリーがすごい! 2008年版」で2位になった作品でということで、またミーハーで読みましたが、久々にいい作品に出会えました。

 鳥取県を舞台に、架空の村である紅緑村に古くから続く製鉄業を営む名家、赤朽葉家の祖母、母、娘三代に渡る物語。不思議な千里眼を持ち、赤朽葉家に嫁いできた祖母、万葉。不良少女となり、レディースのトップになり、その後そののちレディースを描く売れっ子少女漫画家となった母、毛毬。物語の語り手である、特に何もないニートの娘、瞳子。3部に分け、それぞれが主人公となっています。

 ストーリー、登場人物の紹介はWikipediaをご参考に。
 赤朽葉家の伝説(Wikipedia)

 ちょっとガルシア=マルケスの『百年の孤独』のようだなと思ったら、Wikipediaによると作者の桜庭さんは『百年の孤独』がやはりお好きだそう。さらに私の大好きなヘッセの『デミアン』やエンデの『はてしない物語』、それから桜庭さんの読書日記の本も読んだらアナイス・ニンや森茉莉さんまでお好きということで、直木賞作家ということで遠い存在に感じていましたが、私と好きな作家がかぶっていて、ちょっぴり親近感が沸きました。


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果断

果断―隠蔽捜査2果断―隠蔽捜査2
(2007/04)
今野 敏

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 「首無の如き祟るもの」の感想も書き終わっていないのに、また本を読み終わりました。正直言って感想を書くよりもその時間、本を読んでいたい。

 『このミステリーがすごい! 2008年版』で4位になった作品。『このミス』で上位だからいいというわけではないのですが、普段読まない作家の作品を手にとってみようという気になるので、参考にしています。
 『このミス』がなかったら、「不夜城」「ホワイトアウト」「亡国のイージス」「OUT」「黒い家」「三月は紅の淵を」etc.読まなかったかもしれない。映画化もされていますが断然本!(「半落ち」は映画もいいけれど)出会えて良かったなあ。
 
 「果断」も『このミス』がなかったら読まなかったかもしれなかった作品。
 おもしろかった!
 息子の不祥事で左遷されたキャリア竜崎伸也元警視長(東大法学部出身のエリート)は、所轄の大森署警察署の署長に赴任される。そんな折、管内で強盗犯の立てこもり事件が発生する。
 現場で普段から対立している捜査一課特殊班SIT と警備部に所属するSATが、主導権を巡って対立していた。
 竜崎は犯人との交渉を主張するSITに主導権を握らせることにしていたが、実弾が4発が発砲され、人質に危険が迫ったためSATを突入させるが、犯人は銃によって死亡する。犯人の拳銃に実弾は入っていなかった。

 主人公の竜崎が真面目不器用でいい味を出しています。同期の伊丹刑事部長(彼の方がもう少し要領がいい)との友情もいい。ちょっとふてくされてるけれど認めれば有能な戸高捜査員も良かった。
 最近読んだばかりの「首無の如き祟るもの」は作品の性質もあって人物を深く掘り下げて描かなかったのと好対照。がんばれよ〜っと応援したくなる。「首無〜」は何を応援するんだ(殺しを?(笑))という話だったから。

 事件後、マスコミから警察の判断が間違いだと責められ、指揮官であった竜崎の立場は悪い方へ悪い方へと向かっていく。ところが解決したかに見えた事件は実は…。
 読後感も良く、物語の展開も素晴らしく、うっかりするとラストまでつい話したくなってしまいます。ニュースでSITについて出てきたけれど、この本を思い出してしまいました。


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