アレクサンドラ・イザベルの日記

アンティーク、バラ、陶器の人形、綺麗な絵本、ヨーロッパ映画、バレエなど、好きなものを綴っています。

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孤児マリー

『孤児マリー』 マルグリット・オードゥー(オードー)
Marguerite Audoux, Marie-Claire (1910),
 堀口大學訳 新潮文庫
 岡上鈴江訳 偕成社 少女名作シリーズ

「孤児マリー」


 ネットで古本をいろいろ見ていたら、偕成社の少女名作シリーズ『孤児マリー』が出ていたので購入しました。
 今回購入した本は子ども向けですが、既に『孤児マリー』は全訳を堀口大學訳で読んだことがあります。
 大人向けの本の長所であり欠点は挿絵がないこと。想像力で補えばいいのですが、せいぜいが登場人物を映画スターにあてはめるくらいです。
 私は昔の少年少女名作シリースの古びた優しい挿絵が好きで。私が子どもの頃読んだ世界名作シリーズの挿絵はもう少し現代風でしたが、それは私が初めて知る外国でした。

 今回も、6歳で母を亡くし父に捨てられ育児園に入れられ、その後農園で働くことになる孤児、マリー・クレールという1人の少女の顔を初めて見ました。
 育児園で彼女に優しくしてくれる教師シスター・エーメや、足の不自由なコレット、挿絵の中ではこんな顔をしているのだと見ていて楽しかったです。児童向けなので、完訳版より易しい文章で書いてあるので読みやすく、あっというまに読んでしまいました。

 見開きの挿絵で、農園で働くマリーが草原で羊の番をしている絵があり、嬉しくなりました。
 この場面だけは、完訳版を読みながらさっとイメージが浮かんだ絵がありました。
 オルセー美術館にあるミレーの「羊飼いの少女」。

羊飼いの少女

 

****** ▼ 追記記事 ▼ ******

 作者のマルグリット・オードゥーはこの絵を見たことがあったでしょうか。
 『孤児マリー』はオードゥーの自伝的作品です。
 彼女は幼い頃農園で羊番をし、屋根裏で古い1冊の歴史の本を見つけてからは本に夢中になり、新聞小説だろうが年鑑だろうが、どんなものであろうと読んだそうです。
 その後裁縫師として、貧しい自分の小さな部屋で他人の洋服を縫ったり、金持ちの家に雇われたりしたといいます。
 その後、眼病になり、医者から失明したくなければ針仕事をやめなければならないと言い渡され、その苦しみや悲しみを紛らわせるため、長年の夢だった物語を書き始め、それがパリで出版されるやフェミナ賞を受賞した『孤児マリー』でした。

 マリーが貧しい育児園で過ごす場面は、『オリバー・トゥイスト』などのディケンズ作品を思い出しました。ディケンズ作品ほどは悲惨ではなく、小さな優しさや意地悪、ほのかな光と薄暗い闇の、少女の世界でした。
 『オリバー・トゥイスト』というよりバーネットの『小公女』に似ているかもしれない。幼い世界にも上下関係や意地の張り合いがあって、親が面倒見切れないからと預けてしまう体の不自由な子どももいて、マリーは心優しい、どちらかというと優等生の少女で、美しく優しいエーメ教師のお気に入り。でも意地悪な院長先生から嫌われて、卒業後はパリの帽子店で働く話も出ていたのに、農園へとやられてしまいます。
 農園では小さいながら必死で羊の番をし、羊が行方不明になって疑われて家出をすることもありますが、次第に農園で必要な存在となっていきますが、農園主が変わり、新しい雇い主の奥さんの弟とほのかな恋心が芽生えたことから、農園を出て行くことになります。

 ミレーの「羊飼いの少女」は編み物をしている。それが裁縫師だった作者のオードゥー、そしてマリーと重なって、「羊飼いの少女」にもこんな物語があったのではないだろうかと、想像をめぐらせます。
 後書きを読むと『孤児マリー』には『マリー・クレールの仕事場』という姉妹篇があるそうです。『孤児マリー』の続編かな。日本で出版されたことがあるのでしょうか。読んでみたい。

マルグリット・オードゥー(オードー)

Marguerite Audouxv (1863-1937)

 そしてオードゥーの遺作『光ほのか』(Douce Lumière, 1937)は堀口大學訳で出版されたそうですが、図書館でも古書店でも、なかなか見つからない…と思ったら、たまたま同時期に購入した同じ偕成社の少女名作シリーズの『夢みる天使』、少女向けのタイトルになっていますが、この本こそ『光ほのか』で、少女名作シリーズに感謝してしまいました。こちらも美しい物語でした。

夢見る天使

『夢見る天使(光ほのか)』 マルグリット・オード(オードー)
Marguerite Audoux, Douce Lumière (1937),
 『光ほのか』 堀口大學訳 新潮文庫
 『夢見る天使』 岡上鈴江訳 偕成社 少女名作シリーズ

追記:
『光ほのか』(新潮文庫)ありました。嬉しい~!
こちら
平成6年に一度復刊されたそうです。さっそく購入♪
作者の名前が“オード”になっているので見つかりませんでした。

古本ですが、『孤児マリー』も。
こちら
作者の名前が“オードウー”、統一してくれ~!

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