アレクサンドラ・イザベルの日記

アンティーク、バラ、陶器の人形、綺麗な絵本、ヨーロッパ映画、バレエなど、好きなものを綴っています。

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ブロンズの天使1 プーシキン夫人の初恋

 ロシアの天才詩人プーシキン(1799-1837)、1928年、29歳の彼はモスクワのとある舞踏会で出会った16歳の美少女ナターリアに激しい恋をする。
 ナターリアは没落貴族の娘で、3人姉妹の中で一番の美人だったため、娘に玉の輿をさせようとした母によって、姉妹の中でたった一人社交界デビューしたのだった。美しくとも、持参金もなく、それどころか借金さえ背負ってきそうな彼女には、なかなか有力な求婚者はなかった。
 けれど恋をしたプーシキンにはそんなことはどうでもよかった。たいした金もない貴族である彼を、ナターリアの母は気に入らず、ナターリアの若さを理由に一旦は断ったものの、2年後、プーシキンの情熱に負け、ついに2人は結婚した。
 美貌のナターリアは社交界の花となり、皇帝ニコライ1世も魅了する。自由奔放な詩人であるプーシキンは、しばしば皇室を批判するような作品を描き、ニコライ1世の激しい怒りと反発をかっていた。そんなプーシキンを愚弄するかのように、皇帝は34歳の彼を年少侍従に任命する。それはプーシキンへの嫌がらせのほかに、美しいプーシキン夫人を宮廷舞踏会に出席させるためでもあった。
 情熱の詩人と皇帝を魅了しながら、美しいナターリアはいつまでたっても、不器用な少女のようだった。そして熱烈に愛されながら、実は恋を知らなかった。22歳の時、1人のフランス人将校と出会うまでは…。


アレクサンドル・プーシキン


 ロシアの巨匠、ニキータ・ミハルコフ監督が描きそうな物語です。
 ロシアの偉大な詩人プーシキンは小説や劇も書いていて、戯曲の一つ『モーツァルトとサリエーリ』は、アカデミー賞8部門に輝いた映画『アマデウス』のもととなった作品です。
 ミステリアスな短編『スペードの女王』は江戸川乱歩など、雑誌『新青年』のミステリー作家たちも魅了されたそうです。そのほか、『スペードの女王』『ルスランとリュドミラ』『エヴゲニー・オネーギン』『ボリス・ゴドゥノフ』はオペラ、『スペードの女王』『オネーギン』(原作は『エヴゲニー・オネーギン』)はバレエになっています。
 因みに『オネーギン』は、今年11月にシュツットガルト・バレエ団が上演してくれます。しかも主役オネーギンを踊るのは、パリ・オペラ座バレエ団から客演するマニュエル・ルグリなので、とても楽しみです。
 プーシキンは作品を並べただけで本当にすごい方です。ただ血の気が多い方で、小さなことから大きなことまで、しょっちゅう決闘騒ぎを起こしていました。

 このプーシキンの美貌の夫人ナターリアを主人公にした漫画がさいとうちほ著『ブロンズの天使』です。
 


 池田理代子著『オルフェウスの窓』や加藤知子著『天上の愛 地上の恋』がお好きな方なんて、きっとお好きじゃないかしら?(そもそもこの2作品を読んだ方は、私のHPに来てくださっているかしら…。おもしろいんですよ。とても)
 それからヴィスコンティ監督作品が好きな方や、ミュージカル『オペラ座の怪人』『エリザベート』が好きな方なども。
 もうとにかくおもしろくて、この漫画が連載されている雑誌『Flowers』まで毎月買っているほど。コミックはまだ2巻しか出ていませんが、雑誌ではもうコミック1冊以上先まで進んでいて、とても盛り上がってきました。


プーシキン夫人 ナターリア


 なんといってもナターリアが、人生で初めて恋してしまうジョルジュ・ダンテス男爵がとても素敵なのです。
 王党派のフランス貴族で、共和国となったフランスに見切りをつけてロシアに渡って、ニコライ1世のもとで近衛騎兵隊の少尉となっています(『はいからさんが通る』好きとしては少尉というのにも惹かれる…)。『ベニスに死す』の美少年ビョルン・アンドレセンをそのまま大人にして、白い軍服を着せたような姿が美しいのです。
 とあるパーティでトランプ遊びをしている中、プーシキンの『スペードの女王』の話題が出ます。ふとトランプのスペードの女王を取り上げて眺めるダンテス、そのカードが手から床に落ち、そのカードは1人の夫人の足元に落ち、非礼を詫びつつ拾おうとした時、体調を崩したその夫人が倒れ込んできて…それがナターリアだったのです(ここまでがコミック第2巻)。

 これ以降はまだコミックになっていないので、ネタバレご注意を。


ジョルジュ・ダンテス男爵


 体調を崩して気を失ったナターリアは自分を助けてくれた人が誰かを知らない。
ある日、宮中で馬術競技会があり、ナターリアは姉のエカテリーナと行きます。そこで優勝したのがダンテスで、姉のエカテリーナは王子さまのような金髪の貴公子ダンテスに一目惚れしてしまいます。
 姉の恋に協力しようとナターリアはダンテスと友人になろうとしますが、彼が年上の女性にふられるところに居合わせたり、エカテリーナの恋のために近付いたこともばれ、いつも口ゲンカ。他の女性にはとても優しいダンテスなのに、ナターリアに対してはいつも皮肉たっぷりで、恋さえもしたことのない子どもっぽさを笑われて、ナターリアも逆上していまいます。

 あんまりネタバレも…なのですが、プーシキン夫人の許されぬ恋というと、『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネットとフェルゼン伯爵のような感じなのかなあと思っていた私には意外でした。社交界の花である2人のやりとりが、まるで少年少女のようで、初々しくてかわいらしくて…。
 ケンカばかりしていたのに、パーティで愛の歌が流れて、ふと見詰め合ってしまう姿はフランコ・ゼフィレッリ監督の『ロミオとジュリエット』! ニーノ・ロータのテーマ曲も聞こえてきそう。もう感情移入たっぷりで読んできます。
 しかも連載の1話1話がとっても読ませる。先月号(2005年6月号)でナターリアとダンテスが宮廷で踊るシーンは、まるでヴィスコンティ監督の『山猫』のようでした。

 ナターリアのセリフがいかにもいかにもの少女漫画でかわいくてかわいくて。
「なぜ涙が出るの…?」(それはあなたが恋しているからよ~♪)
「あなたなんて大嫌い!顔も見たくない!!」(そんないつも姿を追っているくせに…)
 少女漫画にツッコミ入れながら読んでいるのは、中学生以来かも(笑)

 あまりに好きなので、HPに『ブロンズの天使』のページを作りたいのですが、私は絵は描けないので、この日記でいろいろ語っていこうと思います。
 ああ、ロシアに行きたい。サンクトペテルブルクのプーシキン美術館と、モスクワのプーシキンの家に行きたい。それからナターリアとダンテスが踊ったエカテリーナ宮殿にも行ってみたい。
 でも、『ブロンズの天使』で一番好きなのはジョルジュ・ダンテス、応援しているカップルはナターリアとダンテスで、プーシキンの家など行ったら、プーシキン先生の幽霊が出てきそう。でもそうしたら『スペードの女王』の本にサインがほしい…(ミーハー)。

 『ブロンズの天使』を読んでいる方なんていないだろうなと思いつつ、いろいろキャスト。
 もしバレエ化するのなら、キーロフ・バレエ団で。プーシキンはファルフ・ルジマトフ、ナターリアはディアナ・ヴィシニョーワかしら。そしてジョルジュ・ダンテスはパリ・オペラ座から客演でマニュエル・ルグリで…。1人だけフランス人というのが、ダンテスの異邦人な雰囲気を出していいような気がします。
 ナターリアとダンテスのみなら、ウラジーミル・マラーホフとアレッサンドラ・フェリの美しい組み合わせも素敵かも。

 映画化するのなら、誰がいいかしら?ナターリア役、十代の頃のイザベル・アジャーニのような女優さんは今時いないし…。ダンテスは『オスカー・ワイルド』の時のジュード・ロウとか…。

無理矢理『ブロンズの天使』ハリウッド・キャスト 『パイレーツ・オブ・ブロンズ』(笑)
ナターリア:キーラ・ナイトレイ
プーシキン:ジョニー・デップ
ジョルジュ・ダンテス:オーランド・ブルーム

 ジョニー・デップは『ネバーランド』ほか作家役がなかなか似合うし、嫉妬に狂ったプーシキンのきれっぷりもさまになりそう。オーランドはレゴラス以来の金髪カツラを被って、ひたすら美しく演じてほしい♪ 年齢的にはキーラもナターリアにぴったりだし、観てみたいかもだ(戸田奈津子風)

 プーシキン、ナターリア、ダンテスについては、アンリ・トロワイヤ著『プーシキン伝』がお奨めです。さいとう先生もこの本をご参考にされているような気がします。分厚いけれどおもしろかったです。
 でもあくまで伝記なので、ほぼ事実として分かっていることしか書いていないので、こういう文献を基にして、想像を膨らませ、美しい恋を創造するさいとう先生は本当にすごいと思います。

 それから、漫画ではプーシキンはかっこいいのですが、実際はは九頭身美人のナターリアに比べて、身長が低かったそうです。ダンテスはもちろんナターリアより背が高くて、社交界の花であるナターリアとダンテスは、モデル体型、本当に絵のような美しさだったのでしょう。


宮中舞踏会のプーシキン夫妻
 

*** COMMENT ***

はじめまして!

さいとうちほ先生の「ブロンズの天使」にはまって、「ジョルジュ・ダンテス」で検索してここにたどりつきました。
フラワーズは最初、田村由美先生が目当てで買い始めたのですが、木原敏江先生の「杖と翼」のサン・ジュストさまに恋してしまいましたが、とうとう終わってしまいました(涙)
気の抜けたところに「ブロンズ~」が盛り上がり出して・・・
ナターリアとダンテスの再会シーンで、完全にはまってしまいました!
2人の恋に落ちていく過程が、とてもよかったです。
でも・・・調べてみるとこれから悲劇がおこるのですね。。。
はっきりいって、プーシキンはどうでもいいので、ダンテスさまとナターリアが心配です。
ダンテスさまは結局、フランスに戻られて、長生きされたようですね。
ナターリアは?
今月号でダンテスを拒否していたのに2人は結局深い関係になってしまうんですね(そうならないと、こっちが欲求不満になりそうです、笑)
私も「プーシキン伝」を読んでみますね。
「ブロンズ~」ファンなんてまわりにいないから、素敵なサイトに出会えて本当にうれしいです!
アレクサンドラさま(とお呼びしていいのでしょうか?)もダンテスファンなのですね♪
ぜひ「ブロンズ」のページを作って下さいませ!
絵がなくても、とても面白いです!

長々と失礼致しました。
ちょくちょく覗かせて頂きますのでよろしくお願いします。

お返事が遅れて申し訳ありませんでした

ナタリーさん、はじめまして。
お返事が遅れて申し訳ありませんでした。
「ブロンズの天使」がお好きな方にコメントいただけるなんて、とても嬉しいです!
Flowersも買われているのですね。
私も毎月、買っています。
私は少し古い作品ですが、萩尾望都先生の『残酷な神が支配する』が好きで買い始めて、HNのサンドラも、この作品からいただきました(笑)
日記のタイトルで、HNが紛らわしいのですが、サンドラとお呼びください。

木原敏江先生の「杖と翼」もおもしろかったですね。レオンとアデルのハッピーエンドを最後まで希望していたのですが、歴史を変えるわけにはいかないので、あのラストが最高のハッピーエンドなのかなとも思いました。
田村由美先生は「BASARA」の頃から大好きです。来月号は「ブロンズ」がお休みで寂しいのですが、「7SEEDS」が気になるので買います。

でも一番今夢中なのは「ブロンズ」です。
ナターリアとダンテスのカップル、大好きです。
二人の再会シーンから惹きつけられて、Flowersを毎号毎号、何度も読み返しては溜息をついています。セリフのいくつかは暗記しています(笑) 2人が宮廷で踊ったシーンも、狩猟の時のシーンも、本当に素敵でした。
プーシキンは、歴史さえなければ、アレクサンドラと幸せになってほしいのですが…。

その後の物語は「プーシキン伝」が一番詳しく載っています。
今月号のダンテスの手紙もこの本に載っていました。ただこの本は伝記なので、手紙や日記以外で、本人が本当は何を思っていたかは書かれていません。
この後にもいろいろ悲劇がありますが、私個人としてはナターリアとダンテスは、人生の最後まで心から想いあっていたと思います。

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  • Author:サンドラ(bisenco)
  • HP『子どものための美しい庭』の管理人をしています。
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