アレクサンドラ・イザベルの日記

アンティーク、バラ、陶器の人形、綺麗な絵本、ヨーロッパ映画、バレエなど、好きなものを綴っています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

火垂るの墓

 11月1日に放送されたドラマ『火垂るの墓』の世界に、どぼんと落ち込み、そのまま、その世界にぷかぷかと浮き続けています。
 観終わってから、ずっと心を離れない。
 いろんなことを考え続けています

 イソップの『北風と太陽』のよう。
 心が温かさと悲しみの涙で溶けていきました。
 強い言葉で「戦争反対」を糾弾されるよりも、心から戦争はいけないんだ、食べ物を大切にしなくてはいけないのだと、二つの小さな死を通して思いました。
 人としての尊厳や優しさを失っていくのは、なんて悲しいんだろう。

 アニメ『火垂るの墓』も感激し、泣いたけれど、その時以上に、今回は惹きつけられた。
 アニメがなければ、今回のドラマも観なかったと思うけれど。
 アニメを見たからこそ、兄妹に冷たくしたおばさんに焦点をあてて、そしてその役を松嶋菜々子さんというのは、新鮮だったし、やはり大きい。どんな風に描くのだろう?どんな風に演じるのだろう?と、楽しみにしていました。
 松嶋さんは、熱演ぶりが目立つ女優さんではないけれど、兄妹の訴えるような視線に動じることなく、表情を変えず、突き放す言葉と態度を続けたのが、悲しくも良かった。

 原作にはない、加害者(おばさん)と傍観者(その娘)の視線を入れたことによって、改めて、改めて自分が悲しい出来事の“傍観者”であることに気付きました。

 傍観(ぼうかん)──、辞書を引くと「手を出さずに、ただそばで見ていること。その物事に関係のない立場で見ていること」とあります。
 “傍観者”って、偽善であり、弱虫なんだなあ。
 安全な場所で、ひどいことが行われていれば誰かがなんとかしてくれるだろうと考え、ひどいことを行なわなくてはいけない時も、自分以外の誰かがやればいいと辺りを見回す。
 同じ偽善なら、寄付でもなんでも、何らかの救いの手をほんの少しでも差し出すことができ、その少しずつで、本当に誰かを救うことができるかもしれないのにと、何もしないことへの嫌悪感があふれ出す。でもできても「ほんの少し」だけで、それ以上踏み込めない。安全を守ってばかりだ。

 アニメ版の『火垂るの墓』は、主人公の清太を、高畑勲監督は、弱い現代の子として描いたそうです。
 同じ立場でも生き抜いた子どももいるし、野草など自然があふれる夏(暖を取れない冬ではない)、目の前に魚がたくさんいるだろう湖があっても、知識も方法も分からなかったんだろうね。清太君は。
 おばさんの家にいても、気を利かして手伝いをするとか、向こうの子どもの面倒もみるとかしたり、家出をした後も、自分に有利な立場で戻る手段をとるとか(誰か人前でおばさんに約束させたり)、心が優しくても処世術がまるっきりないところが悲しい。
 でも、親戚の男の子たちを見ても、12~16歳くらいの男の子は、呼ばれるまで部屋にいたり、挨拶ができなかったりと、それ以下だけど。照れや反抗期というものもあるのだろうけれど。
 それでも、子どもだ。悲しいくらい無力で、世間知らずの。なんだかんだ言って大人を信じている。
 死ぬことが十分分かっていて、突き放したのはひどすぎる。
 さらに5歳の子どもは、もっと弱い。
 なんとかできたはずというのは、常に子どもよりも大人の方に言える。
 でも、飢えるということを本当に経験したことがないからこそ、死と向きあわせでいる恐怖と絶望を経験したことがないからこそ、思える余裕があるからこそなんだろうな。

 アニメでも、蛍と共に、悲しみと美しさの象徴だったドロップ缶、これをおばさんが節子ちゃんにあげたものだったというのがよかった。
 アニメでは節子ちゃんの遺骨が入っていたけれど、ドラマで入っていたのはおばさんの優しい心の遺骨だったのかもしれない。95歳まで生きたおばさん。ドロップ缶を持ち続けたということは、その死を忘れなかったということだろうけれど。
 戦後を必死で生きていくというのは、子どもも成長するし、おそらく長くても10年だったろう。必死で生きるじかんを過ぎ、残りの50年を、あのおばさんなら後悔はなかったかもしれないけれど…、死んでも優しい夫と同じ場所にはいけない…、決して天国に行くことはないことを自覚し、受け止めて。戦後に自殺した人もいることを考えると、強さも感じるけれど。
 「死んだら負け」、その言霊は彼女に何を与えたのだろう。家族の命。二つの死。でも、心も…「死んだら負け」だったのに。

 こんなに、いろいろ考える作品は、『永遠の仔』や『戦場のピアニスト』以来だ。ずっと考えるんだろう。『永遠の仔』も『戦場のピアニスト』も、ずっと考え続けている。
 感想はまとまらないけれど、まだまだたくさんあるけれど、感動を忘れないうちに、つらつらと書き留める。
 ドラマを観終わった後は涙があふれて(初めから泣いていたような気もするけれど)、次の日に響かないように、顔を何度も洗った。それでも目は腫れてしまったけれど。

*** COMMENT ***

コメントの投稿

管理人にだけ読んでもらう

カレンダー(月別)

07 ≪│2017/08│≫ 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

プロフィール

サンドラ(bisenco)

  • Author:サンドラ(bisenco)
  • HP『子どものための美しい庭』の管理人をしています。
    HP: http://marieantoinette.himegimi.jp/
    twitter: http://twitter.com/bisenco
    mail: sandra_w24@hotmail.com

最新記事
最新コメント
カテゴリー
ブログ内検索

リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。