アレクサンドラ・イザベルの日記

アンティーク、バラ、陶器の人形、綺麗な絵本、ヨーロッパ映画、バレエなど、好きなものを綴っています。

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天使が通る時(1) ユージニア

「消えたわね。世界が」
「うん。不思議だね。時々、潮騒がなくなる瞬間がある」
「本当に──本当に静かになるのね。あたしには、まるで世界が消えたみたいに感じる。あっ、また」
「うん」
「この世に二人きりになったみたい」
「そうだね」
「ほら、また。こんなに続くなんて珍しい」
「スペインじゃあ、『天使が通った』って言うらしいよ」
「へえ。綺麗な言葉ね。こういう静かな瞬間のことを?」
「うん。というよりも、何人かでお喋りをしていて、ふっと全員の話が途切れて静かになってしまった瞬間のことをそういうらしい。向こうの人は、日本人なんかに比べてずっとお喋りだからね、きっとそういう瞬間が珍しいんだろう」

  恩田陸 著  『ユージニア』 より



ユージニアユージニア
(2005/02/03)
恩田 陸

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 『ユージニア』、物語りもミステリーとしておもしろかったけれど、浮き上がるように、この透明感のある部分が好き。
 潮騒が途切れる瞬間というのがとても綺麗。
 私は海とご縁のある生活をしていないから、電車の中だったり、人が大勢いる中だったりになるけれど、ほんの一瞬の音が途切れる瞬間、いつもこの場面、言葉を思い出します。

アマン・ジャン「ミューズの霊感に耳を傾けるヘシオドス」
エドモン=フランソワ・アマン=ジャン「ミューズの霊感に耳を傾けるヘシオドス」 1890年頃


 タイトルも画家も覚えていなかったけれど、ふと見かけた絵で、広い青空、草原の中を天使が一人の人間と歩いている絵があります。
 リブロポートで出していた『黄泉の女』で、その絵を見つけました。

 象徴主義の画家、アマン=ジャンの、一般には「ミューズの霊感に耳を傾けるヘシオドス」というタイトルの絵。『黄泉の女』では「オルフェウスとミューズ」というタイトルになっていました。
 個人的にはヘシオドスよりオルフェウスの方が好きかな。
 天使だと思い込んでいたけれど、ミューズだった。
 でも“天使が通る”で、思い出したのは、この絵でした。

 草原に風は吹いていたのでしょうか。草原は風と揺れる草の音で、ざわざわしていたのでしょうか。
 音が一瞬途切れる瞬間、見た幻。

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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