アレクサンドラ・イザベルの日記

アンティーク、バラ、陶器の人形、綺麗な絵本、ヨーロッパ映画、バレエなど、好きなものを綴っています。

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読書メモ: 鍵のない夢を見る

鍵のない夢を見る鍵のない夢を見る
(2012/05/16)
辻村 深月

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 5つの短編を集めた短編集。
 直木賞受賞作だそうで、25~30代前半の女性が主人公の物語で、すべて独立した物語です。
 身近にいそうな、普通の女性の心が描けてました。主人公の女性が、小さかったり大きかったりの、一つの事件に巻き込まれ、自分なりの何らかの解決を見出します。

 ・仁志野町の泥棒 
 小学校の頃の同級生が、本人自身はいい子なのにお母さんが…ということはよくあること。
 この短編集の並べ方が上手なのは、最初の「仁志野町の泥棒」と「君本家の誘拐」の読後感がもっとも爽やかであることです。
 過去からの脱却、いや受け入れた上での成長。
 主人公の同級生の少女、盗癖のある母を持った少女は、幾度も過去に母のせいで嫌な別れ方をした友人たちと再会することになっただろう。
 でもあえてそれを受け入れながら生きていく道を選んだ。
 さらっと読んでしまったけど、感想を書いていたら、それがどんなにすごいことかと泣けてきました。

 ・石蕗南地区の放火 
 この作品を含む後の3作品は、男性運の悪い女性の物語。
 主人公の女性の実家の近くで起きた放火事件。ふと、実家の近くにある消防署勤務の男をあやしく思う。
 彼は仕事の付き合いによる合コンで知り合った消防士だけれど、社交辞令を真に受けて、やたらとメールを送ってくるので1度だけデート。どうしても嫌悪感しかわかないので、電話番号とメルアドを変えて自然消滅したはずが…。
 プチストーカーの消防士さんの不快さもリアルですが、主人公自身も、動物嫌い子ども嫌いで、あまり性格はよくなくリアルです。
 結末は意外性はありませんが、うまくまとまっています。
 動物嫌いの主人公にとってはどうでもいいことかもしれませんが、消防士さんの飼い猫のその後が気になる。猫のことだけは本当に可愛がっていたようだから。

 ・美弥谷団地の逃亡者
 主人公が好きなったのは、暴力を振るうようになった彼ではなく、彼が好きだった相田みつをの言葉なのかもしれない。
 恥ずかしながら相田みつをさんの詩をまともに読んだのはこの作品が初めて。確かに、こんな言葉が好きだという人が、本当に悪い人なのだろうか…、と思うだろうな。
 時間の経過などが混ざり合って、でも分かりにくくない。
 一番ラストが苦しかった。

 ・芹葉大学の夢と殺人
 大学で教授が殺された事件、美術教師になった主人公は、大学時代に共にその教授のゼミを取っていた元恋人
があやしいと思う。
 はかない美しさと、医者になることやサッカーを続けたいと、叶わない夢を抱える青年。自分の夢だけを語って、少しも主人公の夢を聞こうとしない。
 こういうタイプは最低なんだけど…、この短編集に出てくる男性の中では、一番惹かれる理由が分かる。
 思うままにならない彼と自分自身の気持ちを、自分なりに解決したんだろうな。せつない。

 ・君本家の誘拐
 就職、結婚、(ちょっと時間がかかったけど)妊娠、産休、出産と、順調に進んできて、育児中にふとぼんやり忘れてしまって。しかも人を巻き込んでしまってと。
 これまでの4編の物語の展開から、大事にならなくて良かったと胸をなでおろしました。

 大好きで何度も読みたいとは思わないけれど、心に響く作品集でした。一つ一つが読ませる上質の短編集です。 

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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