アレクサンドラ・イザベルの日記

アンティーク、バラ、陶器の人形、綺麗な絵本、ヨーロッパ映画、バレエなど、好きなものを綴っています。

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美しい挿絵: コゼット 「レ・ミゼラブル」木版画から

 寒く真っ暗な道。
 自分は小さな子どもで、一人ぼっちで、水を入れた大きくて重い桶を抱え、長い道を歩いている。

 夢に見そうな風景ですね。
 子どもの時に。大人になっても。

 桶はひたすら重くて。森は暗く怖くて。
 無事にそれを届けなければ、ひどく怒られ、ぶたれてしまう。

 そんな時、ふっと横に黒い影が差したと思うと、桶が軽くなる。

 誰かが一緒に桶を持ってくれたのです。
 知らない男の人なのに、不思議と怖くなくて。

レ・ミゼラブル

 その人は名前を尋ねます。
 幼い少女は名乗ります。

 「コゼット」

 その人は電流が走ったかのようにひどく驚きます。


 『レ・ミゼラブル』の主人公、ジャン・バルジャンと少女コゼットの出会いの、このシーンが大好きです。
 子どもの時も好きでしたが、大人になってから読み返して、泣いてしまいました。

 絵画は1878年に出版されたユーグ版の360枚にも渡る挿絵の中の1枚です。
 このユーグ版は、ギュスターヴ・ブリアンほか様々な画家の美しい木版画を収録しています。

 その中のもう1枚。
 やはり幼いコゼット。
 自分の倍もの箒で掃除をしています。肩はむき出しのぼろぼろの服、足は裸足で、おびえたように上を見上げています。

コゼット

 Emile Bayardという画家が描いたこのコゼットの絵は、顔の部分が引き伸ばされ、フランス国旗をバックに、ミュージカル『レ・ミゼラブル』のポスターにもなっています。

『レ・ミゼラブル』ポスター


 ユーグ版の木版画の美しい挿絵が見られる書籍を下記に紹介します。

「レ・ミゼラブル」百六景〈新装版〉 (文春文庫)「レ・ミゼラブル」百六景〈新装版〉 (文春文庫)
(2012/11/09)
鹿島 茂

商品詳細を見る

 現在、唯一手に入る文庫版。個人的にはハードカバーの方が好きですが。
 ミュージカルの映画化の影響か、この本の新装版が出て嬉しいです。


「レ・ミゼラブル」百六景―木版挿絵で読む名作の背景「レ・ミゼラブル」百六景―木版挿絵で読む名作の背景
(1987/06)
鹿島 茂

商品詳細を見る

 絶版なのが残念ですが、ハードカバー。こちらの方が大きなサイズで絵を楽しめます。


レ・ミゼラブル〈上〉 (福音館古典童話シリーズ 31)レ・ミゼラブル〈上〉 (福音館古典童話シリーズ 31)
(1996/01/31)
ヴィクトル ユゴー

商品詳細を見る

レ・ミゼラブル〈下〉 (福音館古典童話シリーズ (32))レ・ミゼラブル〈下〉 (福音館古典童話シリーズ (32))
(1996/01/31)
ヴィクトル ユゴー

商品詳細を見る

 美しい挿絵は、イラスト集もいいけど、本来の文章があってこそ!
 「百六景」よりは挿絵の数が少ないのですが、かなりの数の挿絵が入っています。口絵も一部収録。
 なんといってもハードカバーなので、絵が大きい。挿絵の細かな線まで見られて感動です。
 この福音館古典童話シリーズは、挿絵が素晴らしいものが多いです。『三銃士』もお勧めです。

 
 ジャン・バルジャンとコゼットの物語の続き。
 もうすぐクリスマスですが、この2人の物語がまた、クリスマスの物語のように優しく美しいのです。

 少女コゼットは5歳の時に、シングルマザーである母ファンテーヌによって、宿屋を営むティナルディエ夫婦に預けられました。
 ファンテーヌはコゼットのために、必死になって仕送りをしていましたが、ティナルディエ夫婦はろくな食べ物も服も与えず女中として使っていました。

 8歳なのに子どもらしい遊びもさせてもらえず、朝から晩まで働き通し。失敗すると夫婦から容赦なくぶたれました。

 そんなコゼットにも小さな楽しみ、憧れがありました。町の玩具屋さんにある大きなお人形です。
 コゼットだけだなく、その人形は少女みんなの憧れでしたが、あまりに高価で売れることはありませんでした。
 そのお人形をコゼットは時折見るかだけで幸せでした。

レ・ミゼラブル「コゼット」


 ティナルディエのおかみさんがさせる仕事の中で、コゼットがもっともつらかったのは、暗い森の中に行かなければならない水くみでした。 
 そしてそんな時、水汲みの最中に、コゼットは謎の紳士、ジャン・バルジャンと会ったのです。
 
 ジャン・バルジャンはティナルディエ夫婦の宿屋に泊まります、コゼットを観察します。
 ジャン・バルジャンはコゼットの母ファンテーヌを看取っていたのです。貧しく落ちぶれはてていたファンテーヌは最後まで娘のコゼットの見を案じていました。
 ティナルディエ夫婦の子どもと同じように可愛がって育ててもらえているはずのコゼットはやせ細り、傷だらけで、仕事をしていました。

 コゼットは水汲みに行く際、牛乳を買いに行くようにお金を渡されていましたが、水を汲み時に落としてしまいました。そしてそのことでおかみさんから摂関されそうになりますが、ジャン・バルジャンがかばい、お金を立て替えてくれます。
 さらにはその夜の仕事のはずだった編み物まで買い取ってくれて、その夜は仕事をせずにすんだのです。

 ティナルディエ夫婦の2人の娘が人形遊びをしています。
 遊び道具などないコゼットは、小さなサーベルにぼろをかけて、人形のように抱きしめます。


レ・ミゼラブル「コゼット」

 ふと見ると、人形に飽きた2人の娘たちが床に放り出した人形に目がとまります。
 近付き、思わず抱きしめると、それを見た娘たちは大騒ぎし、母親にいいつけます。
 泣くコッゼットをしかりつけるおかみさんにジャン・バルジャンはとりなそうとしますが聞く耳を持ちません。

 ジャン・バルジャンは外に出て行き、そして戻ってくるとその手には、コゼットが憧れていた大きな人形がありました。
 「これはおまえさんのだよ」
 と渡され、驚きのあまり、どうしたらいいか分かりませんでした。


 貧しい少女と人形のエピソードはクリスマスの物語のように美しいです。
 その後、コゼットはジャン・バルジャンに引き取られますが、そのジャン・バルジャンには小さな罪で19年間も投獄されるという暗い過去があり、人を愛するという心を失っていました。
 コゼットもまた5歳で母と別れて以来、愛することも愛されることも分からず、おびえて暮らしていました。
 そんな2人が親子のように愛し愛されて暮らしていくのです。
 これこそが、2人にとって何よりのプレゼントだったでしょう。

 コゼットが引き取られる際にも、ティナルディエの夫の方が、ジャン・バルジャンからもっとお金を取ろうと2人を追いかけてきたり、間もなく勃発するフランス革命など、物語は劇的に進んでいきます。

 この素晴らしい物語に添えられた美しい挿絵を、多くの方が目にされますように。


レ・ミゼラブル


 個人的には、ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』も公開されますし、グランヴィル、バルビエ×ラブルールと続いた、美しい挿絵の美術展、鹿島茂コレクションで取り上げられないかと願っています。
 なんといっても『「レ・ミゼラブル」百六景』は、鹿島氏の著書ですし。

テーマ:本に関すること - ジャンル:本・雑誌

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